児島社長

村上郁さん

大阪府守口市でレーザーを使ってボタン電池などの小型電池に
端子を溶接する技術で世界シェア首位の三郷金属工業さん。

以前はパナソニックからの受注がほぼ100%を占めていましたが、数年前に担当者から「(いずれは)うちの仕事がなくなると思ってください」と告げられたのをきっかけに自立への道へと方向転換を決意されました。

この数年、パナソニックの本社に近い門真市や守口市では取引の縮小や停止に苦しむ中小企業が多い中、果敢に新規開拓に取り組んでこられました。今回、展示会を軸にそのご経験を児島社長と経営企画の村上さんに語っていただきました。

展示会との歩み

児島:最初に展示会に出展したのは2011年9月の関西三都ビジネスフェア(現:ビジネスチャンス発掘フェア)と同年10月の大阪勧業展(どちらもマイドーム大阪)。とにかく「出て行かなあかん!」という気持ちでした。身近な商工会議所主催の展示会であれば自分一人でもできるかと、勉強のために出展しました。いざ出展してみたら周囲のブースはすごくちゃんとやっていたのに対し、うちは電池しか置いてないブースで色々と刺激を受けました。

児島:うちは商品ではなく技術を売らないといけないところが難しい。この缶コーヒーが登場したのは2012年の大阪勧業展からです。

 

 
◎取っ手付き缶コーヒーとは…
2012年10月大阪勧業展に出展される際からは同年夏に入社された村上さんが中心となって準備を進められました。このときに登場したのがこの「取っ手付き缶コーヒー」。
中にコーヒーが入った状態の缶に薄いステンレス板をスポット溶接しても貫通しないので液体がこぼれません。
「技術」をわかりやすく説明するための媒体が誕生しました。
この展示物は現在も大活躍しています。

村上:成果に結びつきはじめたのは2013年5月の中小企業総合展(インテックス大阪)からです。名刺のレベル分けやフォローハガキ、コンセプトシートの作成をはじめました。

村上:左が三郷金属工業の強み。右が対象者=ターゲットです。
コンセプトシートを作ることで強みと対象者を明確にし、それを元に展示物や配布物の準備をすすめました。
これができたのは前年の勧業展等で集めたデータがあったからです。
コンセプトは今も変わっていません。


中小企業総合展2013(インテックス大阪)

児島:対象を技術者とし、技術者=オタク=鉄道好き。電池で動く電車を走らせたら目を引くことができると考えました。
真ん中に映っている美人駅長(モデルさん)との相乗効果で目標名刺枚数170枚をはるかに超える300枚の名刺が集まりました。

村上:名刺は5段階でレベル分けをしています。レベル1の売込等にはなにもしません。2と3には定期的にハガキを送ります。4と5は重要なお客さんなのでアポをとって訪問します。

村上:今までで具体的な問い合わせ数が一番多かったのは2013年10月に出展した関西機械要素技術展(インテックス大阪)です。


関西機械要素技術展2013(インテックス大阪)

児島:やはり専門技術展は問い合わせ案件の精度が高いこと、あと関西は中国地方や四国など西日本のお客さんが集まることがわかりました。
既に開発をはじめている案件が3件ほど出てきています。
われわれの業界は開発から量産まで3年かかるので、量産に入るとすれば2016年からです。

成果としては具体的な問い合わせのトータルが現在約100件。
その内の50%がホームページ、20%が展示会です。その他は新聞や紹介。
取引がはじまった案件が11~12社あります。

児島:2014年は4月に国際ウェルディングショー、6月に機械要素技術展(どちらも東京ビッグサイト)に出展します。今年は総合展への出展は考えていません。
来年以降の予定としては海外にも拠点(インドネシア工場)があるので台湾、インドネシアでの出展に向けて既に計画をはじめています。

児島:出展してみてわかることがたくさんあります。お金はかかりますが次に繋げていけば決してそれは無駄なお金ではありません。
ブース作りで大切なのは来場者に自社の強みが瞬間的に伝わることです。
キャッチコピー等で強みを打ち出せていないとお客さんを引き寄せられないと肌身で感じました。

村上:やはり社長自らブースに立つであるとか、椅子は置かずに常に立っていること等、熱意を前面に出すことが大切と思います。

インタビューを終えて
一社依存体質からの自立を決断したときからたった数年で迅速かつ着実に新規開拓を進めてこられた三郷金属工業の児島社長と社員の皆さん。まずは最初の一歩を踏み出す。そしてその経験から得られたデータを次に活かし次の一歩へ。まさに中小企業の展示会活用のお手本のようなこの数年の軌跡でした。
今後は東京ビッグサイトでの専門展や海外の工業展への出展計画が進んでいるとのこと。三郷金属工業さんの挑戦はまだまだ続きます。展活では今後も追っかけレポを掲載していけたらな、と思っています。
お忙しい中、インタビューにご協力いただきありがとうございました!

(インタビュアー:大島節子)

【三郷金属工業 会社情報】

会社名 三郷金属工業株式会社
お問い合わせ 06-6992-3334
ホームページ 精密溶接エキスパート工場
http://www.laser-factory.jp/
所在地 大阪府守口市寺方本通2丁目13-17

【これまでに出展した主な展示会】
関西三都ビジネスフェア2011(マイドーム大阪)
大阪勧業展2011(マイドーム大阪)
大阪勧業展2012(マイドーム大阪)
中小企業総合展2013(インテックス大阪)
関西機械要素技術展2013(インテックス大阪)
エコプロダクツ2013(東京ビッグサイト)
国際ウェルディングショー2014(東京ビッグサイト)※予定
機械要素技術展2014(東京ビッグサイト)※予定